ときめきの(1-10)作
(額はイメージです)
【 紅 明 】
2月中旬 未明の刻 山梨県精進湖より
真冬の未明から暁に移ろいゆく時。
最も冷える夜明前、辺りは一切無音。
観た事もない真紅の空が広がった。

宇宙空間に浮かんでいる感覚を覚えた。
観た事もない夜明直前の空の色だ。

ときめきの富士第一作は
日本国旗の真紅の色。図らずも日の丸の色を富士山の空の色で再現した。

【 夜 明 け の ベ ー ル 】
12月4日 午前6時 静岡県 猪の頭より
夜明が近づく頃、
「出ておいで」と夢の中で呼ばれた。
跳ね起きた。

風が雲を緩やかに流した時、
富士山が肩からフワッと
ベールを掛けて姿を見せ直ぐに消えた。

情景は一期一会。
木花開耶姫がその姿を現した。

【 天 空 に 舞 う 】
平成15年度 文部科学大臣賞 授賞作品
5月下旬 午前8時 山梨県 忍野村より
風が疾った。
雲は流され、離れ、千切れて、固まり
姿を変えて舞いながら
私の心に広がって飛んでいった。

一瞬、形が出来た。
そして鳥になった。鳳凰だ。

夢を乗せて大きく翼を広げ、
空全面にに羽ばたいた。

【 月 光 紅 葉 】
10月下旬 深夜 山梨県 安倍峠より
満月は上空へと移った。
そうだ月光で撮ってみよう。

きっと昼間とは異なり、
色が内面から滲み出る様に
冴え渡った美の世界になるはずだ。

長時間露光だからチャンスは1回のみ。
仕上りは天に任せた。

想像を超えた深い色の世界が出現した。

【 紅 さ す 嶺 】
2月 早朝 山梨県 忍野村より
今朝は-17°Cになった。
富士北麓は最も冷え込む地域だ。

白雪を真紅に染める
極みの色になるのは数秒しかない。

その数秒に逢う為に
何年も挑戦を繰り返す。
冷え込めば赤の色は鮮烈になる。

紅色の中に紫の色まで出て
堂々とした一段と美しい
紅富士になった。

【 星 降 る 夜 に 】
12月8 日深夜 山梨県 本栖湖より
冬の夜空は星座の王国だ。
辺りは無音。見えるのは
星の光とシルエットの富士のみ。

90分で1枚の露光にしたら
一等星や二等星、そして無数の
星の軌跡がフィルムの上に刻まれた。

この夜、私はオリオン座と交信した。

【 雲 上 の 輝 き 】
8月中旬 午前7時半 山梨県 丸山林道より
下界は厚い雲。
ならば雲上に出よう!

林道を走って高度1,600bの
場所に着いた。雲上は別世界だ。

太陽が頂上通過の瞬間にシャッターを
押したら、光は八芒星になった。

志高く夢に向かえ。そう励まされた。

【 情 熱 の 朝 】
8月16日 午前5時 二合目より
数年に一度の極みの赤富士が出た。この朝、山を
覆っていた雲は夜明と共に山の上空に移動した。
富士山の稜線の形に沿って左の端から少しずつ
浮き上がり、山頂で大きくカーブを描いて
ゆく。そして今度は雲の回廊を能役者が
通る様に別の雲が入って来た。
それはまるで光を受けて
クルクル
と回る
天使か
ペガ
サスの
翼だ。
朝陽は強烈な
スポットライトを当てた。

【 頂 天 世 界 】
6月中旬 忍野村より
有史以前の遥かな昔に存在した
超古代の歴史に関する本に、

スメラミコトが「あめのとりふね」に
乗って世界を巡ったという記述があった。

陽光を受けて輝く雲は黄金の天の鳥船か。
ときめきの富士の夢は世界を巡る。

【 雲 の 浮 島 】
3月9日 午前6時50分 静岡市清水区吉原より
夜明け前に雨が上がり
山上のドラマが始まった。

大気は風を呼び峰を覆っていた
雲を数秒だけ払ってくれた。

厚く立ち込めた谷間の
雲海が動き出した。
波間から顔を出した。

山々は荒波に浮かぶ
島々の姿になった。
これを浮島と言う。

自然界の壮大な
シンフォニーが聴こえて来た。