ときめきの(61-70)作
(額はイメージです)
【 紫 の 夜 明 】
2月 夜明 河口湖大石地区
富士山の微かなシルエットが刻々とコントラストを
強くして、空の脈動と呼応するのを全身で
受けとめている。今朝は一面が
グレーの雲だったが、夜明の
前には紫となり長い
時間に渡って
ときめきの紫
だった。自分の
呼吸と大気が調和
してゆく。劇的な朝焼けで
なくとも移ろい行く時の流れを
大切にして行こう。心に響いた得難い朝だった。

【 光 明 】
11月下旬 午前8時 櫛形林道
林道
から雲上に輝く
太陽を観た。富士山は
雲の中。雨に変る気配さえ無ければ
厚い雲が何処で上下に分かれてカーテンを
開けるかを予測して林道を走るのは楽しい。
大きなカーブに車を停めた。雲が分かれ始めた。
目を凝らし動きを読む。それは最大の姿と光を
収める事だ。マニュアル式のカメラ、露出は感性。
" 感じるチカラ” が全てだ。朝陽は輝きを増した。
燦然と放たれる光はここまで来た者に
無限に与えられる。
山を乗り越えて
その先にある
未知の
世界を観よと
幕が開いた。新しい朝が来た。

【 富士のまほろば 】
7月 朝6時前 静岡県 山伏峠より
夏なのに
奥地は朝冷えする。
夜明と共にガスが湧き出して
富士山は隠れた。だが夜明けを過ぎて
40分後に空が赤くなった。
富士山も出て来た。
通常は
有り得無い事、
今頃になって朝焼けとは!
「やまとは國のまほろば・・・」
ヤマトタケルが詠ったまほろばとは
秀でたもの、 強きもの、 母なる大地の事を言う。
目の前で不思議な事が起きている。
今朝その言葉が響いた。

【 紅 燃 ゆ る 】
10月下旬 丸山林道より
谷から湧き上がるもやと刻々と変わりゆく富士の
山肌のグラデーションが美しい。全てが静まる深夜から
未明、微かな地平線に夜明けの予感を告げる暁、その
光が広がってゆく夜明け直前の黎明、そして劇的な
夜明けへと向かう一連の時の流れ。やがて眠って
いたものが目覚め、万物の命が立ち上がる朝が
来る。心身は大気に同化して、微かな
空の変化までも細胞に染み込む。
ここにときめきが潜んでいる。
今朝一段と美しい姫様に逢えて幸せだった。

【 昇 雲 】
初夏 富士北麓より

富嶽
三十六景を
描いた葛飾北斎。
晩年90歳の頃に信州で
描いた浮世絵がある。それは彼の
最後の画業となった。昔、山梨県 の富士北麓
( 山中湖~忍野村~富士吉田~河口湖一帯)に居た頃を回想
して富士百景を描いていた。富嶽三十六景では彼が
観て感じた富士山のエネルギーの大きさを表現
しきれなかったのだろう。北斎翁は自らを
画狂老人と呼んだほど想像力を発揮
した。雲の中に龍がいる。


【 天 上 桜 】
4月11日 早朝 大月市の山中より
山間にガスが湧いて、
朝日の斜光を受けて、
颯爽と立つ天上の桜。

5年前は中旬遅くだった。
ずっと前は下旬だった。

今年は今朝(4月6日)
見に行ったらもう葉桜だった。
枝ぶりも寂しくなっていた。

危うい。
開花も年々早くなっている。

ある年、 最高の調和の時にここにいた。
極めて微かな時間に起きる美しさ。

至上のときめきの富士になった。

【 創造の光 】
1月15日 夜明けの45分後 ニ合目の広場より
一合目に大きな広場がある。
この一帯を創造の森公園という。
作品名は【 創造の光 】がピッタリだ。
太陽は左の裾野から放物線を描く様に昇り
目の前で極大になった。行く手には
無限の夢の実現が待つ。
今日も心が燃えた。

【 花 の 精 】
雲は女神の横顔になった
4月13日 午後3時45分 富士桜自然墓地公園
西に移った太陽の光を
余す事なく全身で受ける桜の色は、
朝陽を受けたピンクの色とは異なり午後の
斜光の金色が入った独特の色になる。絶好の快晴に
恵まれたこの日、一ヶ所に陣取って富士山を観ていた。
やがて左から少しずつ雲が湧いて流れて来た。山の
上空を通る時に形は千変万化になる。ある瞬間
富士山頂から立ち上る様に固まって上昇した。
そして女神の顔が出た。
今日富士山と
桜の女神
から最幸の
ご褒美を
貰った気がして
嬉しかった。共に女神の名は木花咲耶姫である。

【 光の煌めき 】
12月3日 午前6時14分 信州高ボッチ高原より
光は
空の扉を
開けてくれる。
朝陽の色で表面が
染まってゆく。朝の空と
呼応する様に人々の営みの
光が煌めいている。空が金に輝き、
街明りが残っている。僅かな時間に待っ
ているのは情景の宝物。全ての光が心に染み
入る色になって、現代の浮世絵がまた一枚出来た。

【 月 夜 幻 想 】
3月31日 午前2時40分  山中湖村平野浜より

夜中に
山中湖平野浜
の一角に立った。
左の雲は空に浮かんだまま
止まっていた。月光だけが頼りだ。マニュアル
方式のカメラだから露出計は使わない。光をフィルムの
上にどの程度記録するかは自分の感覚で決める。
胸が弾んだ。宇宙の営みに自らが溶け込ん
でいる歓びを感じる。真夜中なのか昼間
なのか判らない世界に幻想が
現実になっている。雲は満月の
光をたっぷり浴びて輪郭は彩雲を
描き出した。魂の次元へ。月よりの使者
がハートの宇宙船で迎えにやって
来た。このシーンの前に
立てた事に感謝
無限大
なり