ときめきの(51-60)作
(額はイメージです)
【 天空の扉 】
2月19日 黎明 (夜明前)  大泉清里高原より
数少ない
アドバンテージの
場所を見付けた。富士山が
見えるこのスキー場に幾度も来た。
一番冷え込む 2月の夜明前、ここで朝を待った。
やがて緞帳が上がる様に光の幅が広がって富士山が
姿を現した。上の雲は騒めき、黎明の空は至高の
紫となって金の横帯と調和した。

【 時 空 無 境 】
4月6日 午前7時30分 山中湖長池より
春の雪が山に降った。しかし夜明の時間を
過ぎても湖はずっと靄で富士山は見えな
かった。諦めて走り出したが心残りが
して元の浜に戻った。30分間に
同じ事を4回繰り返したが
富士山は出なかった。
その時に閃いた。
呼ばれている!
そしてカメラを
セットした時に
突如出現した。
天と湖の境が消え
対岸の建物も無い。
7年前にこのシーンを
心に描きいきなり今日逢う
事が出来た。それは宇宙空間に
浮いているときめきの富士だ。大切な
事を受け止めたメモリアルモーニングである。

【 明響の空 】
9月9日 早朝 山梨県 丸山林道より
遥か
宇宙の彼方
から朝がやって来た。
太陽はあの山の下から天空に
光を放射し雲たちは歓喜の声を挙げて
空を彩った。音が聴こえる。グオーングオーン
と私の胸に響く。大いなる光に生かされて全ては実現に
満ちている。壮大な夜明けが始まった。

【宇宙大地・秋彩】
11月4日 午前6時 乙女高原より
今、私は100mの
垂直な絶壁に立っている。
独り、全ては自分に帰す。夜が明けた。
旭光が光と陰の世界を創り出す。樹々のいのちが
立ち上がる。無限宇宙が目の前に有る。

歓喜界とはこれか。

確信していた通り
絶壁の下の枯木達は、
朝陽を受けて燃える赤に
命を吹き返し最後の輝きを
見せてくれた。宇宙大地の息吹に
融合した鮮烈な朝の ときめきの富士 だった。

【 天 の 架 け 橋 】
10月16日 午後5時 山中湖より
山の向こうに
太陽が隠れた時に
富士山の中腹から空を切り
裂くような影の帯が出た。空は
黄金と紫に変化した。もの凄いドラマが
目の前で起きている。この架け橋は何を意味して
いるのだろう。天・地・人 は繋がっている。

全ては自然と宇宙の一部である。一人の
思いが地球を、ひいては宇宙全体に
影響を及ぼす事が出来る事を、
富士山が教えてくれた
ような気がして
ならない。

【 紅 炎 上 】
10月16日 午後5時過ぎ 山中湖
富士山の中腹から
空を切り裂く様な影の帯
=天の架け橋が消えた後、壮大な
夕焼けが始まった。青から紺へ、薄紅を
交えて紫へ。光が強く当たる所は金色に。
そして最高潮の赤へと色が劇的に変化する。
これまでに経験した中でも最大の夕焼けだ。
人の営みが自然に影響を与え、空は大地の
脈動を映す。雲は次に起きる変化を
示しているのだ。地球の息吹が
教えてくれた。この日の
夕焼けは前兆だった。

一週間後、新潟中越地震の発生を知った。

【 心 象 の 紅 】
2月上旬 黎明の刻 河口湖畔より

明けの
直前を黎明と
いう。新しき夜明けを
迎えに行く貴重な一瞬だ。厳冬の
夜明け前、私の眼の前に出た光はピンク
だった。薄紅からマゼンタ、そして紫の高貴な色を
秘めて目の前に展開した。それは新しい世界の
始まりのエネルギーに満ちている。此花咲耶姫
に出逢った朝だ。幸運を呼ぶピンクの富士山
としてある雑誌に特集された。何かが
始まる予感に満ちて日本中の
多くの人の心に共鳴し
心象の紅が
ステージを駆け上がった。

【女王のアリア】
11月下旬 午前6時30分 信州高ボッチ高原より
モーツアルトのオペラ「魔笛」は大好きなオペラだ。
劇中に声の極地とされるアリア「夜の女王」が
スタッカートで歌われる。名歌手が
喉の奥で珠を転がす様に歌う、
その技巧と美しさに陶酔する。

ずっと 夜の女王を
探していた。彼女は
諏訪湖の上にいた。
それは初冬の暁の刻。

富士山は微かなシルエット。
右は南アルプス赤石連山、左は八ヶ岳、
霧が街の灯りを覆い、雲の帯は富士へと続く。
夜の女王が澄み切った声で魔笛のアリアを歌っている。

【降臨】
8月18日 午前6時 山伏峠より
夜明の
一時間後に
太陽は富士山の
頂上を通過する。刻々と
昇ってゆく朝陽の、強い逆光の
日差しをまともに受けながら対峙した。
そして頂を通る時に奇跡が起きた。雲を通して
滝の如くに光のシャワーが降って来た。

周囲の雲は太陽の
周りで讃歌を奏で、彩雲と
なった。無数の神々が舞っている。
光溢れる希望の世界に進め! と受け止めた。
撮ってから16年間寝かしておいた写真。

今、時を迎えた。

【 天 翔 雲 】
6月10日 午前7時 静岡市清水吉原
空に
広がる壮大な雲。
直感である方から戴いた
超超広角レンズ付きのカメラを
セットした。何と頭上は真っ直ぐ、
左右は両肩の延長まで、つまり空の半分を
撮れる。通常、この場所で眼に入るのはこの画角の
1/6・・雲海、富士山、その上の小さな空の隙間が
中心だ。私は空の半分を写してしまおうと発想した
時点から別世界を観る事になった。
巨大な翼、空の
中央には異次元
への入口の穴が開いた。
峰の頂上を目指し、鳳凰も水神も龍神も
無数に集って来た。全ては一つ、一つは全てである。


新しい世界の扉が開く。今朝確信した。