四季の彩・冬の色

冬10〜冬22


10
【 春近し 】
2月3日 富士北麓公園より
随分と雪が減った。
降雪はあるが着床しないので、朝には風に飛ばされてしまう。

山麓の人たちの暮らしは楽になったが伏流水は減るだろうなあ。
そうするとずっと先には農業に影響が出る。
厳しい冬だった一昔前が懐かしい。

ここは開設していた『山のアトリエ』のすぐ横。いつも観ていた。
今日、雲が流れ青空がが出て富士山が微笑んで、山里にも
春の到来が近いと感じさせてくれた。

11
【 有 明 の 月 】
1月13 日 午前7時過ぎ 御殿場市より
お月さんが
ぽっかりと富士山の
上空に浮かんでいる。 太陽と
月は地球を中心にシーソーの様な
位置関係だから同時に見られない。
だが朝陽の紅富士と月が一緒
なら両方をイメージ
出来る。 小さい
雲も遊びに来た。

12
【 爽 快 破 竹 】
1月13日 朝 富士宮市柚野より
若竹は
冬の入りに
芽を出し日を追う
ごとにぐんぐん伸びる。
盛りの時期は冬である。春には
葉が黄ばんでしまう。それは破竹の
勢いと呼ばれて発展成長の象徴にもないる。

13
【 春はそこまで 】
1月16日 7:36 am 三浦半島秋谷濱より
海越しの富士山は冬の風物詩。
久しぶりにクリアな海と空になった。
手前は立石岩。朝陽に照らされて赤く輝く時がある。
あの松が在るから現代の浮世絵だ。

朝夕の風は冷たいけれど、
一歩一歩確実に春の気配が近づいて来る。

14
【 暁 の 出 航 】
1月19日 夜明け 三浦半島長井港より
冷え込んだ
朝、富士山に朝陽が当り
紅富士になる時は、一際心が躍る。
それは2種類の人間のみ、 漁師と写真家に限られる。
冷え込みの強い時は豊漁だし、写真家にとっては
際立つ色の世界を観る楽しみだ。
清々しい朝が来た。

15
【 雪 の 窓 か ら 】
冬晴れの湖
1月24日 午前8時30分 富士吉田市孝徳公園より
膝までの
雪を掻き分けて
30分歩き里山の公園に
着いた。いい角度に富士山が
見えた。この時間を過ぎれば枝の
雪が溶けて落ちる。間に合った。
青空も出て来た。山麓の町が
富士山に抱かれている。

16
【 初 あ か り 】
1月25日 午前6時48分 箱根大観山より
冬の
朝日の
最初の光は
富士山頂に届く。
空にピンクの帯が出来て、
朝日が昇るに連れてその帯が頂を
染め始める。そのピークは10数秒。一切の
無音の中でその一瞬に集中する。 喜びの賛歌が
聴こえて来る。

17
【 明 け ゆ く 霊 峰 】
冬晴れの湖
2月5日 午前6時45分 山中湖平野浜より
2月は最も気温も下がる。
しかも山中湖は五湖の中でも
一番冷え込むから雪の紅富士に逢える。

-15℃を下回ればその確率が上がる。
今朝はノスタルジックな空に
紅富士が映えた。

18
【 息 吹 】
2月13日 昼過ぎ 静岡県 ニ合目の水ヶ塚より
山頂と空の気温差があるから風が起きて
雪煙が舞っている。太陽はもう
高い場所に移り陽光は一面を
燦々と照らす。堂々たる
存在感と躍動感だ。

19
【 月 照 】
2月24日 夕刻 朝霧高原より
地球の
自転、月の公転
が作る自然界の一致。富士
山頂に昇るお月様の光と太陽が
作る夕陽の残照効果で山頂がピンクに
染まる事がある。辺りは無音。月は
斜めに放射線を描いて天空に
昇って行く。

20
【 躍 動 】
2月25日 7時20分 河口湖畔より
朝の爽快感は夜が明けてから1時間以内の宝物。
大気の気温がどんどん上昇するに連れて
雲は流れに身を任せて様々に姿を
変える。そして雲は山頂上空に
集まって来る。富士山が
大好きだから。

21
【 海 は 夕 焼 け 】
2月11日 夕刻 千葉県 鋸南町 明鐘岬より
冬になると
房総半島から富士山が
見える確率が高くなる。特に夕方が
迫る頃は、シルエットの富士山が海越しに
姿を見せて美しい。 急斜面の崖を慎重に降りて
行くと、海に侵食された岩場が広がる。 夕日の
影になった姿はシルクロードに栄えた
モスクの廃墟の様だ。そこにサギが
飛来した。君はお使いなのかい?
いいアクセントになったよ。
ありがとう。

22
【 雲 の 浮 島 】
3月9日 午前6時50分 静岡市清水区吉原より
夜明け前に雨が上がり
山上のドラマが始まった。

大気は風を呼び峰を覆っていた
雲を数秒だけ払ってくれた。

厚く立ち込めた谷間の
雲海が動き出した。
波間から顔を出した。

山々は荒波に浮かぶ
島々の姿になった。
これを浮島と言う。

自然界の壮大な
シンフォニーが聴こえて来た。

冬10〜冬22