四季の彩・冬の色

冬11〜冬17


11
【 暁 の 出 航 】
1月19日 夜明け 三浦半島長井港より
冷え込んだ
朝、富士山に朝陽が当り
紅富士になる時は、一際心が躍る。
それは2種類の人間のみ、 漁師と写真家に限られる。
冷え込みの強い時は豊漁だし、写真家にとっては
際立つ色の世界を観る楽しみだ。
清々しい朝が来た。

12
【 雪 の 窓 か ら 】
冬晴れの湖
1月24日 午前8時30分 富士吉田市孝徳公園より
膝までの
雪を掻き分けて
30分歩き里山の公園に
着いた。いい角度に富士山が
見えた。この時間を過ぎれば枝の
雪が溶けて落ちる。間に合った。
青空も出て来た。山麓の町が
富士山に抱かれている。

13
【 息 吹 】
2月13日 昼過ぎ 静岡県 ニ合目の水ヶ塚より
山頂と空の気温差があるから風が起きて
雪煙が舞っている。太陽はもう
高い場所に移り陽光は一面を
燦々と照らす。堂々たる
存在感と躍動感だ。

14
【 月 照 】
2月24日 夕刻 朝霧高原より
地球の
自転、月の公転
が作る自然界の一致。富士
山頂に昇るお月様の光と太陽が
作る夕陽の残照効果で山頂がピンクに
染まる事がある。辺りは無音。月は
斜めに放射線を描いて天空に
昇って行く。

15
【 躍 動 】
2月25日 7時20分 河口湖畔より
朝の爽快感は夜が明けてから1時間以内の宝物。
大気の気温がどんどん上昇するに連れて
雲は流れに身を任せて様々に姿を
変える。そして雲は山頂上空に
集まって来る。富士山が
大好きだから。

16
【 海 は 夕 焼 け 】
2月11日 夕刻 千葉県 鋸南町 明鐘岬より
冬になると
房総半島から富士山が
見える確率が高くなる。特に夕方が
迫る頃は、シルエットの富士山が海越しに
姿を見せて美しい。 急斜面の崖を慎重に降りて
行くと、海に侵食された岩場が広がる。 夕日の
影になった姿はシルクロードに栄えた
モスクの廃墟の様だ。そこにサギが
飛来した。君はお使いなのかい?
いいアクセントになったよ。
ありがとう。

17
【 雲 の 浮 島 】
3月9日 午前6時50分 静岡市清水区吉原より
夜明け前に雨が上がり
山上のドラマが始まった。

大気は風を呼び峰を覆っていた
雲を数秒だけ払ってくれた。

厚く立ち込めた谷間の
雲海が動き出した。
波間から顔を出した。

山々は荒波に浮かぶ
島々の姿になった。
これを浮島と言う。

自然界の壮大な
シンフォニーが聴こえて来た。

冬11〜冬17