四季の彩・冬の色

冬01〜冬10


冬 01
【 光 波 】
12月15日 深夜 山中湖畔にて
何が起きたか分からないけれど湖面に
光が入って騒めいた。 或いは湖中から出た光だろうか。

一人。 深夜。 無音。 白雪はうっすらと紅の色をつけた。
やがて来る夜明の紅富士の前兆か。

富士山は生きている。 その息吹を受け止めた。

冬 02
【 雲 上 輝 峰 】
ここまで来た者を待っていた
12月10日 午前8時 西川林道より
下界から富士山は見えないから
雲の上に出ようと決めた。

だが冬の林道閉鎖が始まったから、
今は廃道の旧林道を探し出し、

倒木や水溜りの土砂の道を辿って中間まで来た。
そこからは眺望の良い場所まで歩き。

厚い雲海の布団の上で姫が
「よく来たね」と待っていた。

03
【 灯 り 】
12月19日 17:00 南房総市より
日の沈む
30分前は魅惑の色の
劇場だ。未だ空が夕暮れの
明るさと橙色を残している時、桟橋の
 先端まで行った若者がライトを点けた。
この日は桟橋の灯りが一つ
消えていた。あの二人の
ライトがそれを
補ってくれた。
やがて青い波が岸に
向かって大きく寄せ始めた。

04
【 冬 の 星 座 】
12月 29日 午前0時 34分
一合目の広場より
中腹にある広場は凍える寒さと
引き換えに満天の星と友達になれる。

星は時間をかけて放物線を
描く様に天空に移動してゆく。

夜明の前まで寝ずに浸っていた
ソワレ(夜会/夜の演奏会)の美。

05
【湖上のオリオン】
12月22日 深夜 山中湖畔にて
満天
の星と富
士山。それは
深く関わり合っている。冬の夜、オリオン
の三つ星が富士山の上空に位置する
時。通い続けた。そして奇跡的な
夜が待っていた。深夜25時を
過ぎた。飛行機が飛ばない時間
帯に恵まれた。満天の星、頂上にオリ
オン座、そして完全に鏡になった湖面にはその
星々が映った。
幻想の冬の
星座は
今。

06
【 時の彩り 】
1月11日 夜明け 河口湖畔より
夜が明けた。 美しい旋律を奏でる様に一面は吸い
込まれる様な色の世界に染まった。 自宅を
コンサート小ホールに改装した女性が
「写真からコンチェルトが聴こえます」
とおっしゃってサロンにおいでに
なり作品をお求めになった。

07
【 春近し 】
2月3日 富士北麓公園より
随分と雪が減った。
降雪はあるが着床しないので、朝には風に飛ばされてしまう。

山麓の人たちの暮らしは楽になったが伏流水は減るだろうなあ。
そうするとずっと先には農業に影響が出る。
厳しい冬だった一昔前が懐かしい。

ここは開設していた『山のアトリエ』のすぐ横。いつも観ていた。
今日、雲が流れ青空がが出て富士山が微笑んで、山里にも
春の到来が近いと感じさせてくれた。

08
【 有 明 の 月 】
1月13 日 午前7時過ぎ 御殿場市より
お月さんが
ぽっかりと富士山の
上空に浮かんでいる。 太陽と
月は地球を中心にシーソーの様な
位置関係だから同時に見られない。
だが朝陽の紅富士と月が一緒
なら両方をイメージ
出来る。 小さい
雲も遊びに来た。

09
【 爽 快 破 竹 】
1月13日 朝 富士宮市柚野より
若竹は
冬の入りに
芽を出し日を追う
ごとにぐんぐん伸びる。
盛りの時期は冬である。春には
葉が黄ばんでしまう。それは破竹の
勢いと呼ばれて発展成長の象徴にもないる。

10
【 春はそこまで 】
1月16日 7:36 am 三浦半島秋谷濱より
海越しの富士山は冬の風物詩。
久しぶりにクリアな海と空になった。
手前は立石岩。朝陽に照らされて赤く輝く時がある。
あの松が在るから現代の浮世絵だ。

朝夕の風は冷たいけれど、
一歩一歩確実に春の気配が近づいて来る。

冬01〜冬10